実施していない検査代の請求

検討ポイント

✅事実摘示か
✅立証できるか

事実摘示なのか意見論評なのか

「レシートを見たら実施していない検査代が請求されていた」「明細に身に覚えのない項目があった」といったレビューは対策可能でしょうか。まず「実施していない検査代」が事実摘示なのか意見論評なのかを検討する必要があります。
このレビューについて立証命題は,「実施していない検査代を請求した」のか否かです。これは,請求したのか,請求していないかのどちらかであり,歴史的な事実の存否が問題となっていますので,事実摘示だと考えられます。

事実摘示の違法性

削除請求や発信者情報開示請求では,投稿が違法であることを請求者側で立証する必要があります。そして,事実摘示の違法性は,①摘示事実が真実でないか,②公益目的がないか,③公共の利害に関する事実ではないか,といった基準で判断します。

「実施していない検査代」は違法な表現か

このレビューが違法な名誉毀損かどうかは,「実施していない検査代が請求された」か否かにかかっています。請求したことがあるのなら適法なレビューで,一度も請求したことがないのなら違法なレビューとなります。

どのようにして証明するのか

もっとも,「一度も請求したことがない」という事実をどのようにして証明するのかは大きな問題です。一般には「これまで一度もない」という立証は,「陳述書」と呼ばれる,裁判所あての報告書のようなものに頼るほかありません。「これまで一度もない」ことを証明できる証拠は想像しにくいためです。
ただ,裁判官としても「一度もありません」とだけ言われても,はいそうですか,と簡単に言い分を認めるわけにはいきません。そのため,たとえば「なぜ請求されたと思ったのか」「患者が勘違いした理由は何なのか」をレビューの他の記載から読み取り,「おそらく,このように勘違いしたのだと考えられるが,実際にはこうです」と説明のうえ,想定した「勘違い」に関する証拠を提出するといった方法が取られています。
眼科医のケースでは,レシートに記載されていた用語が専門的で分かりにくかったためではないかという立証により,開示請求が認められています。