削除請求権はどの法律に規定されている?

人格権(名誉権やプライバシー権)に基づく削除請求権を規定している法律はありません。プロバイダ責任制限法3条が削除請求権の根拠規定だと考えている実務家もいますが、同条はプロバイダの損害賠償責任を制限するための法律であり、削除請求権は規定されていません。
他方、著作権侵害差止請求権など、知的財産権に基づく削除請求権は、各法律が規定しています。

人格権侵害差止請求権の根拠は何?

最高裁判例によって、人格権侵害差止請求権,名誉権侵害差止請求権というものが認められています。
名誉毀損を理由とするネットの記事の削除請求権は,この人格権侵害差止請求権を根拠とするものです。

人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価である名誉を違法に侵害された者は、損害賠償(民法七一〇条)又は名誉回復のための処分(同法七二三条)を求めることができるほか、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解するのが相当である。けだし、名誉は生命、身体とともに極めて重大な保護法益であり、人格権としての名誉権は、物権の場合と同様に排他性を有する権利というべきであるからである。

最大判昭61・6・11(北方ジャーナル事件上告審,民集 40巻4号872頁)

プライバシー侵害の場合は?

プバイシー侵害差止請求権も、最高裁判例によって認められています。北方ジャーナル事件判決は「名誉」にしか触れていませんが、実務上は、この判例によって人格権侵害差止請求一般が認められているものとして扱っています。
最近、プライバシー侵害についても最高裁は削除請求権があると判断しており、行使のための要件も最高裁が基準を示しています。

検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。

最三小決平29・1・31(グーグル検索結果削除請求事件,民集71巻1号63頁)