発信者情報開示請求

内容

  • 投稿者特定の方法
  • 手続の流れと期間の目安
  • 裁判所の管轄
  • 供託金
  • ログ保存期間との戦い

手続の概要

発信者情報開示請求は,投稿者を特定するための手続です。グーグルのレビューに関しては,第1段階としてグーグルから発信者情報開示仮処分の手続で投稿者の使ったIPアドレスを開示してもらい,第2段階として,そのIPアドレスを管理する接続プロバイダから発信者情報開示請求訴訟の手続で投稿者の住所氏名等を開示してもらいます。

手続の流れ(IPアドレス開示仮処分)

申立て裁判所にIPアドレス開示仮処分の申立てをします。
数日
債権者面接東京地裁の場合は,申立人(債権者)の言い分を聞く手続があります。主張に不備があれば訂正などを求められます。
呼出グーグルを米国から呼び出す手続です。
2~3週間あけれられます
双方審尋同席のうえグーグル(債務者)の反論を聞く手続です。1~2週間おきに主張と反論を何度か繰り返します。
少なくとも1~2か月はかかります
担保決定裁判官が削除相当だと考えた場合は,担保の供託を指示されます。
1日以内
発令開示仮処分決定書がグーグル代理人に送られます。
3~4週間程度
IP開示米国から直接,メールでIPアドレスなどが開示されます

手続の流れ(住所氏名の開示訴訟)

調査開示されたIPアドレスを管理する接続プロバイダを調べるとともに,ログ保存期間がギリギリなら,ログ保存仮処分などの方法でログの保存を依頼します。
数日
提訴接続プロバイダに対し,住所氏名の開示請求訴訟を提起します。
意見照会プロバイダが投稿者に対し,反論がないか照会します。
提訴から1~2か月
口頭弁論投稿者への意見照会をふまえ,プロバイダ(被告)からの反論があります。1か月おきに主張と反論を何度か繰り返します。
少なくとも1~3か月はかかります
判決裁判官が開示相当だと考えた場合は,開示認容の勝訴判決が出ます。
2~4週間程度
開示接続プロバイダから,投稿者の住所氏名などが開示されます

裁判所の管轄

グーグルに対するIPアドレスの開示仮処分は,グーグルが米国法人のため,東京地裁にしか管轄がありません。そのため,レビューの削除も求める場合,東京以外の請求者は,東京と地元の裁判所で,それぞれ申立てをする必要があります。
接続プロバイダに対する住所氏名の開示請求訴訟は,接続プロバイダの本社所在地を管轄する裁判所に提訴します。

供託金について

裁判官が開示相当だと考えた場合は,IPアドレス開示決定の発令のために,担保の供託を指示されます。一般的には10万円で,これを法務局に供託し,供託証明を裁判所に持っていくと,開示決定書が作られ,債権者と債務者に送達されます。東京地裁で削除とIPアドレス開示請求を同時に申し立てている場合,担保は30万円が一般的です。
供託金は,民事訴訟法の建前では,IPアドレス開示請求訴訟をして勝訴すると戻ってくることになっていますが,実際には,グーグルに対するIPアドレス開示請求訴訟はしません。そのため,開示後すぐに取戻の手続をします。
取戻の期間は,早くて3か月,米国への送達手続をする場合は1年程度かかります。

IPアドレスの開示が認められない場合

裁判官がIPアドレスを開示すべきでないと考えた場合は,仮処分申立を取り下げるように勧告されるか,却下決定が出されます。
却下決定となった場合は,即時抗告という手続により,高等裁判所へ異議申立することができますが,高等裁判所で争っている間に接続プロバイダのログが消失する可能性が高いため,実際には,異議申立をしないことが多いと思います。

ログ保存期間との戦い

接続プロバイダのアクセスログは,投稿から3~6か月程度しか保存されていません。そのため,早々にグーグルからIPアドレスを開示してもらわないと,接続プロバイダに対する訴訟ができず,投稿者特定は不可能になります。
「3か月」を基準に考えるとすれば,レビューの投稿から1か月以内にはIPアドレスの開示仮処分をしないと,間に合わないことになります。
なお,日本の手続で間に合わなかった場合でも,米国の手続でアカウントの情報を開示できる可能性は残ります。